近年ホリスティック医学の普及に伴い、日本でも急速に注目を集めるようになったスピリチュアルですが、スピリチュアルにはとても長い歴史があります。
スピリチュアルな存在が初めて世の中に出現したのは1848年、アメリカで起きたフォックス事件だと言われています。
この事件はフォックス夫妻とその2人の娘が、夜になると聞こえる不思議な物音をきっかけに、霊と交信することができるようになるのです。娘の一人が面白がって霊に向かって「まねをしてごらん」と指を鳴らすと同じ数だけ叩く音が聞こえ、同じように夫や夫人が質問すると、音の回数で答えが返ってきます。「あなたは霊ですか」という質問をすると、正しいという答えが音によって返ってきたのです。
この出来事によって、ある人物の霊がこの家に居るということが分かり、この事件は当時アメリカや他の国へも伝わり反響を呼びました。
この事件は霊や霊能者の存在を明らかにし、心霊科学などの研究が進められるようになったことから、近代のスピリチュアルの原点だと言われています。
1930年以降はこういった心霊現象が減少しました。そして科学が急速に発達したこともあり、人々のスピリチュアルへの関心は次第に薄らいでいきました。しかし、一方でスピリチュアル・ヒーリングといわれる霊医による治療が行われるようになりました。これはヒーラーと霊医によって病気の治療が行われるものです。病気の治療を通じて「霊的真理」の正当性を証明し、患者の霊的成長を促します。
近年ではWHOの「健康の定義」の改正案にスピリチュアルな表現が含まれるように、スピリチュアルと人間の健康との関わりが認められつつあります。
また、ホリスティック医学の重要性が高まる中、医学としてのスピリチュアルにも関心が高まっています。
ホリスティック医学の重要性が高まると同時に、医療としてのスピリチュアルの重要性が高まっています。医療の現場において、最もスピリチュアルな医療が求められている分野に緩和ケアがあります。
緩和ケアとは生命に関わる重大な病気を持つ患者に対して行われるケアです。近代医学による治療以外の方法で、「身体的」な痛みや、「心理的」「社会的」「スピリチュアル」な苦痛を軽減することを目的にしています。また患者やその家族を精神面から支え、できる限り人生をよいものにする手助けをすることも重要な目的です。
かつての緩和ケアといえば、主にガンなどの終末期医療として行われていました。現在では病気の終末期だけではなく、早期から終末期まで全体的に必要な医療と考えられるようになっています。
患者の苦痛の中でも「スピリチュアルな苦痛」とは、「なぜ私が死ぬのか‥」「死んだらどうなるのか‥」といった、死に直面した時に人間が抱く不安や孤独、喪失感、絶望感などを総合した苦痛で、健康な人には隠れている人間の核心的な意識でもあります。
「人間は誰もがいつか死ぬ」、「長く生きることが大切なことではない」、「死ぬことは怖いことではない」というスピリチュアルな視点でケアをすることは、自分の人生を冷静に振り返り、残された人生を前向きに生きる手助けとなり得ると考えられます。
スピリチュアル側面から行う緩和ケアはスピリチュアル・ケアとも呼ばれ、そのあり方は奥が深く、ホリスティック医学の一つとして、今後に多くの課題が残されています。
ホリスティック医学の一つであるスピリチュアルな医療では、霊的な視点に基づいて病気の治療が行われます。
スピリチュアルな医療では、病気は「カルマの法則」によって引き起こされると考えられています。カルマとは「罪」とか「行為」と訳され、カルマの法則とは「自分のした行為は自分に返ってくる」となります。つまり病気を含むあらゆる苦痛は、自分が過去や前世で作ったカルマの結果であるということです。
カルマとは具体的には利己的な行為のことを指し、心で思ったことや自然に反した肉体の扱いも含まれます。カルマには程度の軽いものから重いものまでさまざまな程度があります。
病気の中でも生まれつきの障害や難病は重いカルマが原因となっている場合が多く、軽いカルマでも積み重なるとそれに見合った苦しみが科せられると考えられます。
カルマによって引き起こされる病気は本人が病気の苦痛を受けてカルマを清算するしかなく、近代医療によって一時的に症状が治っても、カルマの清算を先延ばしするだけということになります。
現在、日本で行われている近代医療では、病気の原因は遺伝や生活習慣、社会環境などと考えられ、投薬や手術によってその原因を取り除き、症状を軽くする治療が行われています。カルマの法則による「病気の原因は自分自身の行為にある」という霊的な考えは患者には受け入れがたいものかもしれません。
しかし近代医療への不信感が高まり、ホリスティック医学などの代替医療が注目を集める中、日本でもスピリチュアルな医療が少しずつ広まっています。
世の中には科学的に解明ができないことがあります。スピリチュアルもその一つといえるでしょう。日本では今スピリチュアルブームの中にあり、最近ではテレビや雑誌でスピリチュアルという言葉が頻繁に聞かれます。
スピリチュアルには「霊的な」という意味がありますが、実際に医学としてのスピリチュアルには「人間の力ではない」という深い意味が含まれています。
イギリスではヒーリングなどで広く知られているスピリチュアルですが、日本ではまだ否定的な医師が少なくありません。
スピリチュアルといえばこれまで霊感商法や安易な占い、いい加減なカウンセリングなどが横行していました。さらに科学的実証がないということからスピリチュアルの信頼は失われ、医師ばかりでなく、一般の人々にもスピリチュアルに否定的な人が多いのだと考えられます。
西洋医学があらゆる病気を解明し、世界でも有数の長寿国となった日本では、科学的な実証があるということは医療の信頼性において重要な条件です。
これからの医療として注目されているホリスティック医学の中で、ハーブ療法や栄養療法などの代替療法では現在厳密な臨床調査が進められているように、近年ホリスティック医学を科学的に実証しようとする動きがあります。
しかし一方では科学的実証は「物質」を対象とする法則性の説明であり、スピリチュアルという物質でない存在は対象とならないと考えもあります。大切なことは科学的実証の有無ではなく、現実に病人を治癒してきたという事実の証明だという考えから、スピリチュアルを求める人が存在するのだと考えられます。
世界中には様々なホリスティック医学がありますが、人々が最も気になることはその治癒率でしょう。
これまで医療の中心となってきた西洋医学について近年さまざまな問題が指摘されていますが、目覚ましい治療技術の進歩により、高い病気の治癒率を誇っていることは否定できません。しかしその治癒率が今、限界に来ていると言われています。
一般的に治癒率とは病気、すなわち肉体的な異常が治る割合のことを指しています。
ホリスティック医学の一つにスピリチュアル・ヒーリングがありますが、この治療は病気を治すことが目的ではなく、人間の「霊的救い」を達成することが本来の目的とされています。「霊的」な部分の治癒は表面的には分かりにくく、他人には実際に治癒しているのか判断できません。しかし治療を受けた本人は明らかにこれまでと違う自分に気がつくことができるのです。
つまり肉体的な症状の変化が見られなくても、霊的、精神的な部分の一部が治癒していることが多くあるということです。肉体的な治癒が現れるかどうかは患者自身によるもので表面的な結果にすぎないと考えられています。
また、スピリチュアル・ヒーリングでは病気の原因にはカルマによって引き起こされるものがあると考えられ、それはどのような治療を受けても治癒しないと考えられています。
こういったことから、スピリチュアル・ヒーリングにおいて、治癒率ははた目から計れるものではなく、治癒率という概念は全く通用しないということになります。
スピリチュアルを題材にしたテレビ番組が放映されるようになり、スピリチュアルの雑誌や本が人気を集めています。今、日本では空前のスピリチュアルブームが起こっているといえます。
一方でスピリチュアルに否定的な人々の間では、人気スピリチュアル・カウンセラーやテレビ番組への批判が絶えなくなっています。
日本ではスピリチュアルブームが起こっているとはいえ、まだスピリチュアルの本当の意味を理解している人はごく少数で、多くの人は宗教の一種だとか、占い、人生相談の一つとしか捉えていないのが実情です。
現在、医療の現場ではこれまでの西洋医学に代わり、ホリスティック医学が注目を集めています。スピリチュアルはホリスティック医学の一つとしても重要な医療です。
かつてスピリチュアルな医療といえば、悪徳商法や不正行為が横行していました。良心的なスピリチュアル治療者は少数で、疑わしい治療者が圧倒的に多いという状況で、被害も後を絶ちませんでした。現在でも低俗な心霊書、不健全でいい加減な予言書が氾濫しているのも事実です。こういったスピリチュアルの悪いイメージのためにスピリチュアル批判が後を絶えないのだと考えられます。
このままの状況が続けば、スピリチュアルが医療として人々に受け入れられることは難しいでしょう。
しかし、実際に多くの病気を治療しているスピリチュアルが人々に理解されないのは残念なことです。良い治療者と治療実績によって本来のスピリチュアル治療の意味を多くの人が理解する日が来ることが望まれています。
ホリスティック医学の中にはがんの治癒に効果的なものが多くあります。中でもスピリチュアルな医療は、過去の有名な医師が末期がん患者を治癒したことでも知られています。
がんは日本の国民病と言われています。昭和56年より現在まで、日本人の死亡原因は「がん」が1位を占めていることからもがん患者の多さが分かるでしょう。
日本では長い間がん治療の研究が進められ、今日ではがん治る病気へと変わりつつあります。
しかし一方でがん患者が年々増加しているというのが現実です。また依然としてがんの発見が遅れ、命を落とすケースが多くあります。こういったことから、医学が飛躍的に進歩した今日でもがんの治癒はとても難しいものであり、近代医学による治療は限界に来ていると考える人が増えています。
そこで人々に求められるものがスピリチュアルな医療です。スピリチュアルな医療としてスピリチュアル・ヒーリングやスピリチュアル・ケアがあります。それぞれ目的や方法は異なりますが、いずれも人間の力ではなく霊的な力によって患者を癒すものです。
霊的な力を借りることによって、がんなどの難病を治癒するスピリチュアル・ヒーリングは、科学的な実証がないにも関わらず、日本でも少しずつ広がりみせています。
またスピリチュアル・ケアは終末期医療として重視され、末期患者などスピリチュアルな痛みを改善するために、今後ますます重要になる医療と考えられています。
スピリチュアルな医療は身体的な健康だけではなく、精神面や霊的側面から人間を支えるホリスティック医学として、今後さらに求められていくでしょう。
ストレス社会といわれる現代、日本では心の病が急増していると言われています。心の病気にはうつ病をはじめ、パニック障害、摂食障害、神経症などさまざまな種類があります。中で最も多いのがうつ病で、小学生からビジネスマンまで幅広い年代に広がっています。
一般的に近代医学による心の病気の治療では、薬物療法やリハビリ療法、精神療法などを中心に行われています。近年では医学の進歩より、以前には打つ手のなかった心の病も、早期発見することで早い回復が可能になりました。
しかし身体的な異常が現れない心の病は実際には見過ごしやすく、「これくらい大丈夫」と軽視される傾向があります。心の病は早期発見、早期治療が難しい病気なのです。
ホリスティック医学は身体的な異常を治す近代医学とは異なり、身体的、精神的、心理的、霊的な側面から健康を考える医学です。ホリスティック医学の中でもスピリチュアルな医学では、心の病は精神的なストレスによって患者の心のエネルギーが不足し、環境的、社会的な要因が組み合わさって引き起こされるものと考えています。
したがって治療は患者の心に霊的エネルギーを補充することが中心になります。心のエネルギーを補充することによって、肉体と同様に心にも自然治癒力が働きます。そして科学的な治療ばかりに頼らなくても徐々に心の健康を取り戻すことができるのです。
実際には心の病気は原因が複雑で、治療では近代医学とスピリチュアルな医療を組み合わせて進められます。
人間は「死」といえば人生の終わりと考え、恐怖や不安を思い浮かべるでしょう。
ホリスティック医学の一つスピリチュアルな医療では、独自の人生観に基づいた治療が特徴ですが、「死」についてもスピリチュアルならではの考え方があります。
霊的な事実が示され、現在のスピリチュアル医療の基本となっている「シルバーバーチの霊訓」では、死について「より大きな自由を得られる素晴らしい時」と述べられています。つまり死ぬということは「素晴らしい霊的世界へ旅立つ新しい出発点」であり、全く恐れる必要がないものと考えられているのです。
現在医療の中心となっている西洋医学では、死ぬことは最大の敗北であり恐怖である考えから、死をさけるための延命治療が重視されています。
これに対しスピリチュアルな医療を含むホリスティック医学では延命治療がよいこととされず、家族や大切な人が病気になった時には、ただその人の痛みや苦しみを軽減してあげることが大切なことと考えられています。死は自然現象の一つにすぎず、病人には新しい出発点として喜んで死を迎えさせてあげることが望ましいとされています。
このようにホリスティック医学と西洋医学とは死に対する考えが大きく異なります。西洋医学による治療が限界に来ていると言われる現在、スピリチュアルな死の捉え方は患者に癒しを与え、最後の時間を有意義なものにするためにも重要なものと考えられるようになっています。そして緩和ケア、終末期医療でも積極的にスピリチュアルな考えが取り入れられるようになっています。